イシューからはじめよの書評・要約を知りたい
こんなお悩みにお答えします!
「イシューからはじめよ」は「シン・ニホン」などの本でも知られる安宅和人氏が生み出した全ビジネスパーソン必読の名著です。
安宅氏は、脳神経科学の専門家でありながら、マッキンゼーで様々な問題解決の経験を持ち、その後ヤフーでCSOを務めています。
「脳神経科学×マッキンゼー×ヤフー」というトリプルキャリアが生み出した究極の問題設定&解決法が記されています。
多くの人が読んでいる本書は、問題解決に関するおすすめの本を聞いて回れば必ず名前が挙がるほどです。
でもこの本の優れているところは、問題の設定方法にフォーカスしている点です。
そして問題の選び方について独自の分析を用いてわかりやすく言語化しているところです。
あ〜また問題解決系ね。
そういうのってだいたい理解はできるんだけどさ、
いつ使うの?当てはめ方も分からないんだよね。
問題解決をテーマにした本を読んだ直後って、内容は理解できるものの自分の状況に照らし合わせた時に考えられなくなったりしませんか?
「それは本当の意味で理解してないんだよ」など議論の余地はもちろんあります。
ですが、多くのビジネス書ではロジックツリーやMECEやインパクトや実現可能性などそれっぽい言葉で論理的に語られてはいますが、
うまくいかない時のトラブルシューティングだったり、頭の使い方だったり、実際に活用するシーンを想定したうえで作り込まれてはいないというのがほとんどなんですよね。
その点、「イシューからはじめよ」は読後感が違います。
もし手詰まりになった時はこうしよう!という部分まで説明されているので、実践がしやすい構成・仕組みになっています。
問題解決やロジカルシンキングなどの言葉にアレルギーを起こす人にとっても大変ためになる本なので本記事で紹介していきます。
早速いきましょう!
Contents
「イシューからはじめよ」はこんな人におすすめ
冒頭で全ビジネスパーソン必読の1冊と述べましたが、特にこんな人におすすめできる本です。
- 仕事で早く成果を出したい人
- 効率よく仕事を進めたい人
- 忙しさと成長や評価が見合ってないと感じる人
もっと噛み砕いて具体的にすると、
・もっと仕事で評価されたい
・仕事の質は高めたいけど残業したくない
・もっと給料をあげたい
みたいなことを考えているけど、今のところ具体的な方法が見つかってないという人は本当に読んだ本が良い本になっています。
本書を読めば上記のような悩みは解決しますし、生産性が爆上がりします。
なぜおすすめか?
本書をまとめると、要は「生産性を高めるために正しい努力できていますか?」ということに尽きます。
また、上述したおすすめしたい人が抱える悩みはこの「生産性」が上がれば解決することだからです。
「イシュー」って何? ということについては後ほど説明しますが、要はこの本は生産性の話です。
イシューって何?
イシューからはじめるって何?
という前に理解すべきこととして、生産性(上図イメージ)を意識しましょうということがあります。
生産性をあげるということは、少ない労力・時間でより多くの成果をあげるということになります。
成果は仕事によって、営業ノルマ・店舗売上・集客数など様々です。
仕事において追うべき数値ってありますよね。
だけど、成果を上げるために多くの人が根性(たとえば残業)に頼りがちになっていることを著者は問題視しています。
実は本の後ろ側には「根性」に逃げない。というメッセージが記されています。
でも若い人だと特に仕事の質を担保するためについ労働時間に頼ってしまいます。
ですが、安宅氏は仕事のアウトプット(つまり成果)は次の2つの掛け算で表せると言っています。
- 解く問題の質(イシュー度)
- 解の質
この2つの要素がそれぞれ高いレベルに達してはじめてバリューのある仕事をしたことになり評価されるということです。
もし残業をして丁寧に資料を作り込むことによって「解の質」を高めても、そもそも解くべき問題の質が低ければ意味がありません。
ビジネスにおいて重要な成果をもたらす仕事で高い質の解を出してはじめて評価がついてきます。
この構造を意識しないで闇雲に労力を注いでいると大変つらい時間を過ごすことになります。
なのでご自身の成果が苦労に見合っていない感じる方はぜひ本書を読んでみてください。
「イシューからはじめよ」の基本情報
基本情報
タイトル:イシューからはじめよーー知的生産の「シンプルな本質」
著者:安宅和人
出版日:2010年12月11日(第一版)
出版社:英治出版
定価:本体1,980円+税
ページ数:248ページ
著者について
安宅和人
1968年富山県生まれ。東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。平均7年弱かかるところ3年9ヶ月で学位取得(Ph.D)。2001年末、マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域における中心メンバーの1人として、飲料・小売り・ハイテクなど幅広い分野におけるブランド立て直し、商品・事業開発に関わる。また、東京事務所における新人教育のメンバーとして「問題解決」「分析」「チャートライティング」などのトレーニングを担当。2008年よりヤフー株式会社に移り、2012年よりチーフストラテジーオフィサー。幅広い事業戦略課題・大型提携案件の推進に加え、市場インサイト部門、ビッグデータ戦略などを担当。データサイエンティスト協会理事。応用統計学会理事。
引用:イシューからはじめよ
本書は以下の構成で書かれています。
■序章 この本の考え方―脱「犬の道」
■第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
■第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
■第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする
■第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
■第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる
おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう
著者の安宅さんがこれまでのキャリアで培った生産性を高めるための考え方が詰まっています。
240ページありますが、ところどころが図解されていて非常に読みやすいです。
集中できる環境で読めば1時間ほどで読み切れる量なので、読書習慣がない人にもおすすめです。
「イシューからはじめよ」の要点
続いて要点について解説していきます。
- 「犬の道」は避けよう
- まずは良いイシューの特定から
- イシューが特定できないときにやるべきこと
- ストーリーを作ってサブイシューを明確にする
それでは1つずつ解説していきます。
「犬の道」は避けよう
アウトプットの質は「イシュー度」×「解の質」で決まります。
ここで下図のようなマトリックスを描きます。
実は、悩めるビジネスパーソンの多くは赤い矢印で示した「犬の道」を進んでいます。
ここで一度「イシュー度」「解の質」という言葉の確認をしておきましょう。
安宅氏はこのように述べています。
僕の考える「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、そして「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」となる。
この定義にしたがって考えると、
犬の道を歩んでいる人というのは、その問題を解くべきかどうか?ということは考えず闇雲に作業する人。そしてその作業で貢献するために残業などを通して解の質を高めようとする人。
ということになります。
しかしこの方法だとかなりの労力を要するため尋常じゃない体力と根性が必要になります。
また、犬の道で成果を出そうとしてきた人はイシューの見極め力をあげようとした経験がないため、リーダーとしては不向きな人材になるとも安宅氏は述べています。
つまり犬の道を進むとはつまり、優れたリーダーとして成長する機会を自分で閉ざす行為だということです。
なんとなくイメージできますよね。
お前は根性が足りないからだ!と感情論でしか詰めてこない頭のかたい上司いますよね?あれです。(汗)
イシュー度の見極めをしないということは、手当り次第いくつもの仕事を進めなくてはならないため、一つ一つの解の質を担保することは事実上ほぼ不可能になってきます。
そうすると結果的に信用を失ったりするため、犬の道はどう考えてもコスパが悪い選択肢なのです。
100ある問いの中で本当に解くべき問すなわちイシューはせいぜい2~3個だと安宅氏は述べています。
2~3個なら解の質も高めつつ実行できそうですよね。
以上を踏まえると、成果を出せる人材になるためには犬の道とは逆回転の青い矢印で示した道をたどることが必須となってきます。
まずは良いイシューの特定から
でもイシューの見極めってどうやってやるの?
次にこの問題にぶつかります。
見極めって基準がないとできないですよね。
大根農家の人がスーパーに出荷するまでに大根を選別するときにも基準があるはずです。
たとえば、
- 一定の重さ以上である
- 形が曲がっていない
- 虫食いの被害に遭っていない
- 変色していない
などです。
本書の良いところは、しっかりイシューを見極める際のこういった「基準」が説明されている点です。
良いイシューの条件
- 本質的な選択肢である
- 深い仮説がある
- 答えを出せる
自分が今まさに解こうとしている問題が上記3条件に当てはまるのかはしっかり考えないといけません。
ちょっと抽象的な表現なので噛み砕いて解説していきます。
「本質的な選択肢かどうか?」ということはすなわち、
「もし解けたらすごい成果に繋がるか? もしくは今後の動きを大きく変える可能性を秘めていますか?」ということです。
解いても全然小さい成果にしかならなかったり、解こうが解くまいが今後の動きにさほど影響を与えないような問題っていうのは重要じゃないということです。
では、「深い仮説があるとはどういうことか?」というと、
常識とは違うけどやってみたら新しい結果を得られるかもしれないということです。
良いイシューを見つけるためには常識を疑うのがコツです。
これが至極当然なことで、誰でも考えることだよね、常識だよっていう問題に価値はないですよね。
答えを出せるかどうかはそのままです。
考えても現在の科学では解法がなかったり、哲学的な内容というのはビジネス上では適切なイシューにはならないということですね。
イシューが特定できない時にやるべきこと
う〜ん、なんとなくわかったけどまだ難しい。
そんなに頭良くないし、「これさえやればOK!」
みたいな方法ってないの?
目の前に仕事は山程ある、そして良いイシューの条件も明確。
なのに全然良いイシューが見つからないということもあります。
そのような場合、まだ自身の思考だけでは問題が大きすぎたり曖昧だったりしていてもうひと工夫が必要になってきます。
そこで良いイシュー特定に苦戦した時に行う5つのことが本書では紹介されています。
イシュー特定のための5つのアプローチ
- 変数を削る
- 視覚化する
- 最終形からたどる
- So What?を繰り返す
- 極端な事例を考える
変数を削るというのは、よりわかりやすく、具体的に、簡単にして深堀りしてみようということです。
視覚化はイメージできますよね。テキストだけで考えるよりも図解して考えた方が理解が深まります。
ここらへんはすでにやっている人の方が多いのかなと思います。
So What?(だから何?)を繰り返すと曖昧な言葉がどんどん明確になっていくというのはとても実用的な方法だと思います。
「だから何?つまりどういうこと?」と5回ほど繰り返せばとても深い仮説に繋がります。
本書でも紹介されているSo What?の例を紹介します。
- 地球温暖化は間違い
- 地球温暖化は世界一律で起こっているとは言えない
- 地球温暖化は北半球の一部だけで起こっている
- 地球温暖化の根拠とされるデータは、北米やヨーロッパのものが中心であり、地点に恣意的な偏りがある
- 地球温暖化を主張する人たちのデータっは、北米やヨーロッパの地点の偏りに加え、データの取得方法もしくは処理の仕方に公正さを欠いている
このように、「だから何? つまりどういうこと?」と自問自答することによって、仮説につなげていきます。
ストーリーを作ってサブイシューを明確にする
解くべきイシューが明確になったら、次は解の質を高める作業に入ります。
ここでもまだ安心はできません。
自身が導いた仮説、主張を立証するにはどのような問題を解決しないといけないか?
という視点を持って、イシューを分解していく必要があります。
いわゆるピラミッド構造を描いて、まずはストーリーを描く作業が必要になってきます。
ピラミッド構造などは多くのビジネス書でも解説されていますが、
「1分で話せ」がとてもわかり易いのでおすすめです。
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また、解の質を高めるために分析や表現の仕方についても解説されているので、
資料作成などに課題意識を持っている方にもとても為になります。
資料作成のコツに関しては、「ロジカルプレゼンテーション」がとてもおすすめなのでこちらもぜひ読んでみてください。
アフィリ
まとめ
いかがでしたか?
今回は成果を出したい全てのビジネスパーソンの必読書「イシューからはじめよ」について記事にしました。
内容をまとめておくと、
こんな人におすすめ
- 仕事で早く成果を出したい人
- 効率よく仕事を進めたい人
- 忙しさと成長や評価が見合ってないと感じる人
読んだらどうなるの?
- 生産性が上がる
- それによって悩みが解決する
要点
- 「犬の道」は避けよう
- まずは良いイシューの特定から
- イシューが特定できないときにやるべきこと
- ストーリーを作ってサブイシューを明確にする
ぜひ参考にしてみてください!